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The Black Cat[1934]


監督 エドガー・G・ウルマー (Edgar G. Ulmer)

出演 ボリス・カーロフ (Boris Karloff)

   ベル・ルゴシ (Bela Lugosi)

   デヴィッド・マナース (David Manners)

   ジェリー・ビショップ (Julie Bishop)

 ユニバーサル映画だと『キング・コング』、『ジョーズ』、そして『ターミネーター』などの怪物映画が有名ですが、それらの先駆けとなったものにモンスター映画と呼ばれる一連の作品群がありました。『魔人ドラキュラ』『フランケンシュタイン』『ミイラ再生』『狼男』『透明人間』『オペラ座の怪人』『大アマゾンの半魚人』など。これらのモンスター映画をきっかけにスターになった俳優がいます。ベラ・ルゴシ、ボリス・カーロフ、ロン・チェイニーJrです。  65分という短い映画ですが、この『黒猫』ではそのうちの二人であるベラとカーロフが、お互いのライバル心を剥き出しにして画面の中で戦います。役柄としては、ベラはボリスに裏切られ妻子を奪われた復讐の鬼として、カーロフはベラの妻子を奪い悪魔教を奉じる司祭として。  この作品では彼らはモンスターという役ではなく人間として向き合います。彼らの持つ顔立ちそのものが化け物じみているために、この作品での薄気味悪さはむしろ怪物映画よりも際立っています。特に画面を通して窺えるベラの異様なまでの潔癖さと俳優としてのプライドの高さは、ボリスへの軽蔑とやっかみが絡んでいるという複雑さを有しています。  ベラは大ヒットした『フランケンシュタイン』(1931)の怪物として出演依頼をされていましたが、台詞のない役だった為、俳優としてのプライドを持っていた彼は出演を辞退しました。その後にお鉢が回ってきたのがボリス・カーロフでした。結果はボリスの怪物の方がドラキュラよりもおいしい役でした。そのこともありベラはボリスに並々ならぬライバル心を持っていたのです。そのことが良い方向に作品に反映されたのが幸運でした。


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